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特例有限会社は株式交換できるのか?商号変更と20日ルールの整理

特例有限会社と組織再編の制限

会社法施行時に残存した「特例有限会社」は、将来的に消えていくことを前提とした会社形態です。
そのため、組織再編の主体となる範囲に制限があります。

合併・会社分割→特例有限会社は「存続会社」「承継会社」にはなれません(整備法37条)。
株式交換・株式移転→整備法38条により、特例有限会社には規定が適用されず、当事者になることはできません。

したがって、株式交換を行うためには、事前に株式会社へ商号変更する必要があります。

合併と株式交換での扱いの違い

合併の場合は、効力発生日までに株式会社へ商号変更すればよいと解されています。
しかし株式交換や株式移転では、整備法38条が「適用しない」と定めているため、契約締結時点で既に株式会社でなければ手続を開始できません。

「効力発生日までに変更すればよい」という誤解をしやすい点ですが、合併と株式交換とでは根拠規定が異なるため、実務では明確に区別されています。

商号変更から効力発生日までの20日間ルール

東京法務局Q&Aでは、商号変更と株式交換の効力発生日の間には20日以上必要とされています。
これは、株主に認められた株式買取請求権の行使期間(20日間)に由来するものです。
一方で、登記専門誌(登記情報554号)では異なる解釈が示されています。
すなわち、株主全員の同意があれば、株式買取請求権を放棄できるため、20日間を待たずに効力発生日を設定できるとされています。
この場合は、株主全員の同意書が登記添付書類として必要です。

実務上の留意点

・商号変更を終えていなければ株式交換自体ができない。
・20日間の期間については、Q&Aでは必要とされるが、株主全員同意で短縮可能とする実務解釈がある。
・短縮の同意は株式買取請求権に限らず、株主総会招集期間など他の法定手続についても包括的に必要となる。

本コラムのまとめ

特例有限会社が株式交換を行うためには、必ず株式会社へ商号変更することが前提条件です。
さらに、商号変更から効力発生日までの間隔は原則20日間ですが、株主全員の同意により短縮することが可能と整理されています。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、特例有限会社は株式交換できるのか?商号変更と20日ルールの整理について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

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本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証