代表取締役の住所変更登記と、遡る重任登記の関係
住所変更と重任の関係
代表取締役の登記実務では、次のような状況が起こることがあります。
・先に「代表取締役の住所変更登記」が申請・完了している
・しかし実際には、その住所変更登記がなされる前に「代表取締役の重任」をしなくては行けなかった
・登記懈怠により重任登記を失念していたため、後から「住所変更登記日以前の重任」を申請する必要がある
この場合、重任登記を行うにあたり、 旧住所で登記すべきか? それとも既に登記されている新住所で登記すべきか?もしくは、住所変更登記を抹消し重任登記をした上で住所変更登記をすべきか が問題となります。
実際の事例
・令和6年12月31日 取締役・代表取締役の重任(登記未了)
・令和7年8月1日 代表取締役が住所を移転し、代表取締役住所変更登記を実施済
このケースでは、次の疑問が生じました。
1.重任登記は「移転前の住所」で申請すべきか?
2.それとも、一度住所移転登記を抹消してから重任登記をし、再度住所移転登記をすべきか?
法務局への照会結果
実際に法務局へ照会したところ、次の回答が得られました。
・代表取締役の住所移転登記の抹消は不要
・申請時点の住所が基準
・よって、移転後の住所で「令和6年12月31日重任」の登記をすればよい
つまり、過去に遡って旧住所で重任登記を行う必要はなく、現在の最新の住所をもって重任登記を申請するのが正しい取扱いということです。
実務上の注意点
・住所変更と重任決議のタイミングが前後していても、登記は「申請時点の現住所」を基準とする
・登記懈怠があったからといって、旧住所に戻して登記し直す必要はない
・ただし、法務局によっては解釈が異なる可能性もあるため、疑義があれば事前照会が望ましい
本コラムのまとめ
代表取締役の住所変更と重任登記が重なった場合、原則として 「申請時点の住所を基準に重任登記を行う」 というのが実務の取扱いです。
住所移転登記の抹消や二重申請は不要であり、最新の住所で登記をすれば足ります。
ただし、管轄法務局によっては、取扱いが異なる場合もございますので、事前照会を忘れずに行いましょう。
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本日は、代表取締役の住所変更登記と、遡る重任登記の関係について解説いたしました。
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