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コラム

取得条項付種類株式と全部取得条項付種類株式の比較

取得条項付種類株式とは?

一定の事由が発生したときに、会社が強制的に株式を取得できる種類株式。
例:「株主が退職した場合」「相続が発生した場合」に会社が買い取る。

法的要件
・普通株式に「取得条項」を付す=株式の「種類変更」
 → 株主全員の同意(会社法111条1項2号)が必要

発行時点で新株式に付けるのは可能だが、株主多数の場合において、既存株式に付け直すのは現実的に不可能。

全部取得条項付種類株式とは?

「会社が株主総会の決議で、その種類株式の全部を一括取得できる」という制度。
スクイーズアウト(少数株主排除)に使われる代表的な手法。

法的要件
・株主総会の特別決議+種類株主総会の特別決議(※)で設定可能。
※会社法111条2項では、種類株式発行会社が、既に存在する種類株式の内容を変更するときには、当該種類株主総会の決議が必要とされています。しかし、「まだ種類株式発行会社でない会社が、普通株式に全部取得条項を付す定款変更をする」場合には、定款変更の効力発生までは種類株式発行会社ではないため、この場合は種類株主総会は不要と整理されます。

・少数株主が反対しても成立。
 → 全員同意は不要。

比較表で整理

項目 取得条項付種類株式 全部取得条項付種類株式
付与時期 既存株式に後付けは実質困難(全員同意必要) 既存株式に付与可能(定款変更で)
必要な同意 株主全員の同意が必要 特別決議でOK(反対株主がいても可能)
主な利用場面 オーナー会社の退職株主や相続対応 M&A・スクイーズアウト
実務の現実性 発行時に限られる → 制約大 少数株主排除に実務で広く利用
少数株主への強制力 なし(全員同意が前提) あり(反対株主も排除可能)


実務的な結論

取得条項株式は既存株主に後付けするのは、全員の同意が取れなければ不可能。
一方、全部取得条項株式は、特別決議で強制的にスクイーズアウトできるため、少数株主対策やM&Aでの株主整理の場面では、
「全部取得条項付種類株式」一択と言って差し支えありません。

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よく、取得条項付種類株式と全部取得条項付種類株式を混同されている方も多いため、比較として掲載しました。
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